ABOUT ODAODAについて

政府開発援助(Official Development Assistance:ODA)

豊かな鉱物資源に支えられ目ざましい発展を遂げているモンゴルに対して、政府開発援助(Official Development Assistance:ODA)で互恵的かつ相互補完的な経済関係の強化に資する協力を展開しています。当ホームページでは、過去の援助や現在実施されているプロジェクトを紹介してまいります。モンゴルと日本の協力関係について皆様の理解が深まり、両国の友好関係のさらなる発展につながっていけば幸いです。

ODAの変遷と実績

日本政府によるモンゴルに対するODAは1977年に締結された経済協力協定に基づき実施された無償資金協力「ゴビ・カシミヤ工場建設」に始まりますが、1989年度までは研修員の受入、専門家派遣、機材供与を中心とした技術協力および文化無償資金協力といった限られた分野に留まっていました。その後、1990年にモンゴルが社会主義体制から市場経済体制に移行したことを機に日本による一般無償資金協力が再開されるとともに円借款が初めて供与され、日本の対モンゴルODAは本格化します。

無償資金協力では、民主化直後、国際機関も含めた他ドナーと協調を図りつつ、インフラ分野(発電所、通信、運輸関連)、農畜産分野(食肉加工施設、乳製品加工施設、穀物貯蔵施設、食糧支援、農業資機材の供与など)への支援を実施し、市場経済移行期のモンゴル国民の生活を支えました。その後は初等・中等学校の建設(59校、729教室)、保健医療機材の供与、消防車両・ゴミ収集車等の防災・衛生車両の供与、日本モンゴル教育病院建設計画などが実施され、市民生活に必要なインフラ整備が行われてきました。また1990年に開始した草の根無償資金協力では、主として地方の学校や病院の改修など、地方の草の根レベルのニーズに応える支援を全ての県で実施しており、2022年11月末現在の支援総数は596案件に達しています。近年では、首都ウランバートルへの急速な人口の一極集中に伴って大気汚染などの環境問題や年々深刻化している交通渋滞など、都市問題も顕在化しているため、2010年から「大気汚染対策能力強化プロジェクト」を継続的に実施(現在フェーズ3)し、大気汚染に関する測定技術の強化や日本の環境対策・制度などについての技術指導も行っています。また、2012年には「ウランバートル市高架橋(通称:太陽橋)」を建設し、交通渋滞の緩和、経済活性化及び社会サービスへのアクセスの向上を図っています。

有償資金協力では、低利で返済期間の緩やかな条件を活かして、モンゴル国内の炭坑施設の改修およびスペアパーツ供与、火力発電所の継続的な改修、新空港の建設など大規模なインフラ整備事業を中心に様々な経済援助を実施してきました。また鉱業依存の経済体制を改善し、民間セクター主導による産業の多様化を図るため、モンゴルの中小企業に対する低金利・長期の融資を行うための円借款「中小企業育成・環境保全ツーステップローン」を2005年と2010年の2回に渡り総額80億円供与しました。更に最近では、モンゴルが必要とする産業人材を育成し、同国の工学系高等教育機関の機能を強化するために、有償資金協力によって「工学系高等教育支援計画(MJEED)」を実施し、日本への留学を通じた人材育成への支援を行っています。

このように日本政府は、モンゴルとの外交関係樹立から今日まで様々な分野での支援を実施しており、2021年度までの支援総額はおよそ3641.07億円に達しています。このような日本政府のモンゴルに対する一貫した支援により、民主化への移行期という財政的に最も苦しい時期に極めて大きな役割を果たすとともに、モンゴルの国造りを担う人材育成を行っています。

参照:https://www.jica.go.jp/mongolia/index.html
http://www.mn.emb-japan.go.jp/itpr_ja/keikyou_odaguideline.html

PROJECTプロジェクトの紹介

「子どもの発達を支援する指導法改善プロジェクト」 Teaching Methods Improvement Project towards Children’s Development

支援分野
教育
協力期間
2006年4月~2009年7月

モンゴルの教育課題

モンゴルでは、従来から暗記中心の教授法により授業が行われているという課題を抱えてきました。また、教育行政能力の不足、教員の質の低下、教育インフラの未整備、高等・専門教育の未発達、地方における就学率の低下など様々な問題が生じていました。

この問題を解決するため同国政府は、2005年9月に新教育スタンダードを制定し、「子どもの発達を支援する指導法」に転換しました。しかし、教員は従来の暗記中心の教授法で養成されてきたため、「子どもの発達を支援する指導法」の具体的な方法が分からず、授業で実践できないでいました。

課題への取り組み

そこでODAの活動として、教員向けの指導書と指導書作成マニュアルなどの開発を支援しました。これにより、モデル県における「子どもの発達を支援する指導法」の普及に寄与しました。このプロジェクトの授業を受けた子どもの変化については、自己表現力の向上やチームワークの実施例、成績上昇などのプラスの影響が報告されています。

「日本モンゴル教育病院建設計画」 The Project for Construction of Mongolia-Japan Teaching Hospital

支援分野
教育
協力期間
2015年~

モンゴルの保健セクターの現状と課題

モンゴルの乳児死亡率、妊産婦死亡率は減少し、全体の基礎保健指標は改善しているものの、依然として地域格差は大きく、地方の一次および二次医療サービスの向上は保健セクターの課題となっています。同国政府は、新卒医師の地方へ配置を推進していますが診療技術が低く、医師に対する統一された教育プログラムが無いなど卒後研修体制が整っていない状況です。

課題への取り組み

この協力では、唯一の医療系国立大学であるモンゴル国立医科大学に初の教育病院を建設し、必要機材の調達を支援します。これにより、質の高い卒後研修提供体制の構築を図り、優先度が高い三次医療サービスや市内の二次医療サービスの提供を通じ、同国の医療サービスの質の向上に寄与します。

「新ウランバートル国際空港建設計画」 New Ulaanbaatar Int’l Airport Construction Project

支援分野
航空・空港
協力期間
2015年~

モンゴルの運輸・航空セクターの開発実績と課題

以前の首都空港であるチンギスハーン国際空港は、設立されて以降、増加する需要に対応すべく滑走路の舗装や延長等の改修が行われてきました。ですが、同空港 は、南と東側を山に囲まれているため、離着陸は北西側のみしか利用できないという立地上の問題から遅延や欠航の頻発といった問題を抱え、拡張事業等を行えない状況でした。

課題への取り組み

この協力で首都ウランバートル郊外に新空港「ウランバートル新国際空港(略称;NUBIA、New UlaanBaatar International Airport)を建設することにより、首都空港の安全性・信頼性の改善及び利便性の向上を図り、もって当国のさらなる経済発展に寄与します。また、旅客ターミナルビルに広めの授乳室を確保しており、乳児を持つ母親にも利用しやすい設計となっている等、本事業は全体として女性に配慮した設計となっており、障害者トイレの設置、障害者に優しい動線の確保等を設計に含めています。2024年現在、開港の後、年間6千本もの離発着が行われ、日本の三菱商事が中心となり羽田空港、成田空港、JALUX(旧日航商事)の4社が日本連合として新空港の運営に携わっており所定の期間の後は、モンゴル政府へ引き渡されるBOT(Build Operation&Transfer)方式をとっています。